総合病院精神医学
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23 巻 , 2 号
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特集:大規模地震災害と総合病院精神医学
座談会
  • 日本総合病院精神医学会編集委員会
    2011 年 23 巻 2 号 p. 129-142
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2015/04/02
    ジャーナル フリー
    平成23年3月11日に発生した東日本大震災は,地震の規模の大きさだけでなく,太平洋沿岸広域にわたる津波被害,さらには原子力発電所問題も併発し,多方面にわたる複雑で甚大な被害をもたらした。復興・復旧に予想以上の時間がかかり,いわゆる災害「急性期」状態が長期化し,被災者の多くは,多重で複雑な喪失体験を経験している。この未曾有の大震災に対する中長期的な支援について検討される時期に入り,我が国の精神医学的支援の果たす役割が改めて注目されている。そのなかでも特に,平時からの連携体制の構築やチーム医療の重要性,さらには被災地域の総合病院精神医学の過疎も指摘されている。このような状況のなか,第24回日本総合病院精神医学会総会では,シンポジウム「災害被災者の抱える問題と支援について」が開催された。通常では,特集記事として数カ月後の本誌に掲載されることになるが,その緊急性を鑑み,その内容をいち早く,学会の会員の先生方に伝えるために編集委員会主催の座談会が総会中に企画され,シンポジウムの座長と演者の先生方にご参集いただき,学会誌上で再現することにした。
経験
  • 池本 桂子, 駒沢 大輔, 村尾 亮子, 小山 敦
    2011 年 23 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2015/04/02
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日の東日本大震災後の3カ月間に,第一原子力発電所に最も近い中核総合病院である,いわき市立総合磐城共立病院(819床)の3次救命救急センターを受診後入院し,リエゾン科にコンサルトされた自殺企図症例11例(男性2例,女性9例)の臨床像を検討した。女性症例が男性の4.5倍を占め,年齢的には20歳代が6例と半数を占めた。神経症圏の20歳代女性の過量服薬(急性医薬品中毒)と自傷が多く(4例),中高齢者のケース(3例)では,縊頸・農薬服毒など成功率の高い手段が用いられていた。関連する状況と要因は,過労と家庭内トラブルの表面化(4例),異性間の問題(3例),飲酒(3例),農業・自営業の先行きと放射能への不安(3例),不眠の長期化と抑うつ(3例),不安障害・心的外傷後ストレス障害の再燃・発症(3例)など,多岐にわたっていた。昨年同時期と比較すると,自殺企図による同センター受診例は,女性の急性医薬品中毒がいずれも最多であり,既遂自殺者は,男性は1例と変化がなかったが,女性は0から4例に増加していた。
経験
経験
  • 河村 代志也, 藤原 修一郎, 秋山 剛
    2011 年 23 巻 2 号 p. 152-159
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2015/04/02
    ジャーナル フリー
    1995年1月17日の都市直下型地震による阪神大震災,および,2011年3月11日の太平洋沖地震とその大津波による東日本大震災において,震災1カ月の時点(ハネムーン期)に,神戸市および石巻市・東松島市で精神医療支援を行った。また,東日本大震災によって原発事故も抱えた福島県において,災害半年以後(幻滅期への移行期)に継続的な精神医療支援を行った。これらの経験を通して,阪神と東日本の両震災がもたらした影響の異同,東日本大震災における支援時期の違い,原発事故の影響について報告した。震災1カ月の支援対象は,ほとんどが了解可能な一過性の不安恐怖や不眠の反応を起こした被災者であった。感情は抑制されていたが不安定化することがあった。一部に軽躁傾向を示す被災者もいた。震災半年以後は,不安抑うつ症状のために精神科を受診する被災者が増える傾向にあった。被災地では放射能汚染不安を示す者がかえって少なかった。
経験
  • 佐藤 茂樹, 吉田 佳郎, 石束 嘉和, 斎賀 孝久, 横山 伸, 馬場 章, 小保方 馨, 室津 和男
    2011 年 23 巻 2 号 p. 160-166
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2015/04/02
    ジャーナル フリー
    東日本大震災において,被災地の拠点病院となったが精神科医のいなかった石巻赤十字病院に対して,赤十字病院精神科医による精神科リエゾン診療支援を行った。平成23年4月から11月まで180日の診療を行い,162名の新規患者に対応した。入院患者では44%,救急患者では78%,職員では60%が直接または間接的に震災と関係のある病態であった。震災と関係のある患者の割合は月を経るごとに減少する傾向にあったが,震災から9カ月を経てもなお震災と関係のある病態の患者が存在した。精神科診断分類では入院患者ではF0が多く,救急患者と職員ではF4が多かった。症状別では,入院患者ではせん妄,認知症が多く,救急患者では不安を基盤にする病態が多かった。自殺企図によるものは入院患者の2割弱,救急患者の4割弱にみられた。今回の支援により,災害医療においても一般医療と精神医療の連携が必要であることが示されたものと考えられる。
一般投稿
原著
  • 蟹江 絢子, 吉川 正孝, 大谷 恭平, 関 由賀子, 今井 公文, 水主川 純
    2011 年 23 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2015/04/02
    ジャーナル フリー
    対象:2007年1月1日から2009年12月31日の3年間に,当院で分娩した精神疾患合併妊婦32例(全分娩件数の1.9%)とした。結果:母体平均年齢は30.1歳,当院産科初診時妊娠週数は平均23.3週であった。精神科診断はICD-10で分類するとF1:1例,F2:6例,F3:10例,F4:11例,F6:4例であった。人工乳が9例であり,その主な理由は向精神薬内服継続であった。小児科入院を要した児は15例であり,主な理由は早産低出生体重児,離脱症候群疑いであった。施設(婦人保護施設,乳児院)に入所した群(n=10)は入所の必要性のなかった群(n=22)に比べ,若年,未入籍,当院産科初診時妊娠週数が遅いものが多かった。結語:当院の精神疾患合併妊婦は1.9%であり,既報告より少なかった。周産期管理を含めて,産科と精神科と小児科と福祉職員の連携が重要である。
  • 津村 麻紀, 古川 はるこ, 森田 満子, 真鍋 貴子, 伊藤 達彦, 忽滑谷 和孝
    2011 年 23 巻 2 号 p. 172-179
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2015/04/02
    ジャーナル フリー
    臨床心理士のコンサルテーション・リエゾン(C-L)活動に関する意識について医師と看護師249名のアンケート調査の自由記述回答(3種類)を対象に質的分析を行った。その結果,1.カウンセリングイメージは8カテゴリーに分類された。2.C-L活動に対してわかりやすさや身近さを望み,患者や家族への心理的援助だけでなく医療者に対する予防的かつ教育的なアプローチも望んでいた。3.依頼希望としてはがん患者が最も多く,①「情緒的問題」,②「患者−医療者関係」,③「がんの治療経過に伴う苦痛」への介入を望んでいた。慢性疾患患者とがん患者を比較すると,いずれも心理的問題だけではなく身体治療上の問題もあげられていた。がん患者の特徴としては,告知にまつわる情緒的問題や,複雑な患者−医療者間の相互関係があった。よってがん医療では,関係性の文脈を踏まえた後方支援的な心理的援助も行っていく必要があると考えられた。
  • 横島 孝至
    2011 年 23 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 2011/04/15
    公開日: 2015/04/02
    ジャーナル フリー
    平成20年4月1日,静岡県中部にある静岡市立静岡病院に,精神科が政策的に新設された。その主な目的の1つは,市内精神科病院入院中の患者に生じた身体合併症への対応であり,平成21年12月より,一般病床内に身体合併症病床4床を設置し,運用している。運用開始から期間が短く,病床利用者数はまだ少ないが,病床を運用するなかで課題や限界も見えてきた。具体的には,①病床設置場所・病床固定に関する課題と限界,②患者受け入れの流れに関する課題,③指定精神病床を持たないがゆえの限界,の3つである。これらを検討すると,身体合併症対応は,やはり有床総合病院精神科で行うのが理想的と考えられた。しかし,精神科病棟を新たに設置するのは困難な場合が多いので,身体合併症病床を一般病床内に設置する際には,できるだけ幅広い身体疾患に対応可能な病棟に設置し,身体疾患の主治医と同等以上の責任感と権限を持って関わることが大切と考えられた。
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