総合病院精神医学
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原著
身体合併症対応を主目的に新設された無床総合病院精神科の現状
―静岡市立静岡病院精神科の2年半―
横島 孝至
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2011 年 23 巻 2 号 p. 180-186

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抄録
平成20年4月1日,静岡県中部にある静岡市立静岡病院に,精神科が政策的に新設された。その主な目的の1つは,市内精神科病院入院中の患者に生じた身体合併症への対応であり,平成21年12月より,一般病床内に身体合併症病床4床を設置し,運用している。運用開始から期間が短く,病床利用者数はまだ少ないが,病床を運用するなかで課題や限界も見えてきた。具体的には,①病床設置場所・病床固定に関する課題と限界,②患者受け入れの流れに関する課題,③指定精神病床を持たないがゆえの限界,の3つである。これらを検討すると,身体合併症対応は,やはり有床総合病院精神科で行うのが理想的と考えられた。しかし,精神科病棟を新たに設置するのは困難な場合が多いので,身体合併症病床を一般病床内に設置する際には,できるだけ幅広い身体疾患に対応可能な病棟に設置し,身体疾患の主治医と同等以上の責任感と権限を持って関わることが大切と考えられた。
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© 2011 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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