総合病院精神医学
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総説
アクティブプロセスとしてのレジリエンスの生物学的基盤
高田 篤
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2012 年 24 巻 1 号 p. 18-24

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抄録
「レジリエンス」の本質は,刺激,ストレッサーに対して,生体が病的表現型を防ぐために対処する反応,変化であり,その形式はダイナミックかつ能動的なものと考えられる。その生物学的基盤を探るため,さまざまな研究が行われている。
1.遺伝子- 環境相互作用
 従来の遺伝子関連研究に加え,遺伝子多型とストレス・虐待歴などの環境因を複合的に解析する,遺伝子-環境相互作用の研究が行われている。その結果,セロトニントランスポーター遺伝子,FKBP5,PAC1受容体遺伝子などが特に注目されている。
2.アクティブプロセスとしてのレジリエンス
 ほとんどの遺伝子多型は2種類のアレルしか有さず,DNA配列レベルでは,脆弱性とレジリエンスの生物学的基盤を区別することはできない。一方,分子,細胞生物学的研究の結果は,神経新生,イオンチャネルの発現上昇など,能動的プロセスがレジリエンスの基盤として存在することを示唆している。
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© 2012 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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