抄録
<背景>修正型,非修正型を問わず,電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)後にpulmonary embolism(PE)を発症した報告が散見される。mECT(modified-ECT)施行中,deep venous thrombosis(DVT)に対して一時留置型の下大静脈フィルターを用い,抗凝固療法を併用することでPE の増悪を予防した症例を報告し,DVT,PEのリスクについて考察する。 <症例>当科では過去2年間,入院時にDVT,PEが発見された7症例を経験した。うち4例は飢餓状態で身体合併症もあり,早期のmECT導入による寛解が望まれた。一時留置型の下大静脈フィルターを留置したうえで抗凝固療法を行い,PEの増悪を予防しmECTを施行した。<結果>治療的緊急性がありmECTを早期に導入する必要がある場合,DVT,PEに対して一時留置型の下大静脈フィルターが有用であった。