2013 年 25 巻 1 号 p. 23-32
東京女子医科大学病院の精神科CLT が介入した731件の事例に関し,単独の職種による介入とチームによる介入の差異を概観したうえで,リエゾンナース・臨床心理士が介入した63事例の内容と構造を示した。睡眠障害は医師,適応障害はリエゾンナースにより,また,せん妄など移植前の精神機能評価,Ⅳ軸のある患者は単独の職種よりもチームで多く介入していた。リエゾンナース・臨床心理士は,医療者への教育的・情緒的支援にも重きを置き,チームの内外で連携を促進していた。 各特性として,前者は看護チーム内の葛藤の調整,セルフケアの査定,適応障害患者への積極的傾聴を中心とした保証,後者は客観的ツールも加えた精神状態の査定,精神病理の重い患者への体系的な心理療法を担っていた。医学的・心理社会的複雑さからみる精神的問題とともに,医療者の対応の困難度を役割分担の指標とすることにより,多角的な見方,多方面からの介入が可能となると考えた。