2013 年 25 巻 2 号 p. 171-177
Japanese Society of General Hospital Psychiatry(以下,JSGHP)会員の認知症診療の実態と課題を明らかにするため,2012年3月にアンケート調査を実施した。その結果,87施設(総合病院42施設,大学病院24施設,精神科病院8施設,精神科診療所13施設)から回答を得た。認知症診療の主たる診療科は,精神科(86.2%),神経内科(44.8%),脳神経外科(5.7%),内科(5.7%)が担っていた。2011年度の年間外来新患数全体に占める65歳以上の高齢者の割合は,各施設順に45.2%,37.3%,32.9%,15.5%で,診療機関の形態や専門性を問わず認知症診療が日常的に行われていることが明らかとなった。また,大学病院・総合病院の高齢者のコンサルテーションにおいては,いずれも40%以上が認知症であった。今後の問題点と課題として,地域連携促進,専門医療機関(総合病院)の偏在,身体合併症対応,Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia(以下,BPSD)治療,教育といった多岐にわたる項目が指摘された。