総合病院精神医学
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原著
精神疾患を合併する救急患者対応の現状と課題
─愛知県のモデル事業から─
山之内 芳雄大野 美子
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2017 年 29 巻 1 号 p. 30-36

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抄録

一般医療における精神疾患を合併する救急患者は,患者調査から無視できない人数がいると思われる。しかし,受け入れ困難や遅延の理由になることが明らかになり,総務省消防庁,厚生労働省双方が対策を講じている。厚生労働省の検討会では,対応可能な総合病院が対応する並列モデルと,医療機関連携による縦列モデルが示された。
愛知県では,平成25年から縦列モデルに拠った医療連携モデルを進めている。救急病院と近隣の精神科病院が固有ペアを作り,固有パスを用いて,早期に精神疾患を合併する救急患者が精神科医療にアクセスできるようにするものであり,2年余りで111例の実績を得た。連携に対しては,①双方のニーズとモチベーション,②双方の医療内容の理解と共有,③関係者やツールを何らかの方法でシンプルにすることが必要と考える。また常勤医師をもつ総合病院精神科は,両医療機関をつなぐメディエーターとしての役割が期待されている。

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© 2017 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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