総合病院精神医学
Online ISSN : 2186-4810
Print ISSN : 0915-5872
ISSN-L : 0915-5872
総説
てんかんと運転
松浦 雅人
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 29 巻 2 号 p. 125-131

詳細
抄録

てんかんの運転適性は2002年施行の道路交通法から絶対欠格でなく相対欠格となった。てんかんのある人は,無発作期間が5 年以上,無発作期間2 年以上で主治医が認めた場合,単純部分発作のみ,および睡眠中の発作のみの場合に,運転適性があると判断される。2014年から施行された改正道交法ではこの運用基準は変わっていないが,虚偽の病状申告に対する新たな罰則や,潜在的なリスクドライバーに対する医師による任意の届出制度など,新しいルールが設けられた。さらに同年,自動車運転死傷行為処罰法が施行され,てんかんなど政令で定める病気の影響で人を死亡させた場合に,最高で懲役15年の刑罰が科せられることになった。2015年に日本てんかん学会は警察庁との共同で実態調査を行い,てんかんの事故リスク比は1.16で,健常な20歳代男性や高齢者よりも低いことなどを明らかにした。諸外国では,てんかんの運転適性は無発作期間1年間を条件としている国が多く,日本てんかん学会は運用基準の再検討を勧告している。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top