2018 年 30 巻 2 号 p. 113-119
神経発達障害(ASD)の治療は子どもの治療から始め,想定した効果が得られないときに家族機能の評価を行い,家族機能に問題がある場合,父・母親個人,夫婦カウンセリングを行い,効果が得られない場合に集団家族療法を行っている。同様の家族機能をもつ家族を,母への聞き取りから児と同じ資質をもっていると思われる父親を集め「思春期のASDの子どもを持つ父親の会」とした。成育医療研究センターとどんぐり発達クリニックにて,30分程度の社会性の発達,発達障害概念,コミュニケーション,家族・夫婦関係などの講義と課題設定した自由討論とし,話し合いながら同様の資質をもつ相手を通し自己に気づく試みである。母親には外来にて成果と家族への指針などを示し家族機能の回復を図っている。父親への母親の行動の影響も無視し得ないことから,母親にも同様の試みを始めている。ASDにおける家族療法は,家族間の相互コミュニケーション,ケアが行われていないことから,家族のキーパーソンである父親への集団治療を優先すべきである。