精神科医療を必要な人に届けるために,プライマリケアに精神科医療を統合することが求められている。総合診療を志す医師が精神科を3カ月間ローテートしたことで,総合診療医は,身体・精神が切り離せない実感を得て,ソーシャルワーク・多職種連携を身近に感じ,せん妄への対応と地域医療への応用を学んだ。精神科側は,精神科医療の普遍性と特殊性を改めて認識し,精神科病床での身体的ケアの向上を実感し,他科の医師とピットフォールを共有することができた。
本経験を通じて得た教訓として,以下の仮説を提示する。総合診療専門研修期間における精神科長期ローテーションには,内科医の精神科知識の現状とニーズを理解しようとする精神科指導医の存在が必要である。外来経験は十分とはいえず,疾患の網羅性や一般化可能性は限定的だが3カ月という期間は妥当である。カリキュラム設定には個別化が必要であり,そのプロセス自体が本質的な価値をもつ。
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