総合病院精神医学
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総説
発達障害と統合失調症
─鑑別補助となる客観的評価─
太田 豊作飯田 順三
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2018 年 30 巻 2 号 p. 120-126

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抄録

大人の神経発達症を評価,診断する場合,発達歴に関する情報が不明確になりやすく,横断的な評価のみとなると統合失調症との鑑別が困難となる場合がある。自閉スペクトラム症も注意欠如・多動症も統合失調症を併存する可能性はあるが,臨床的にはまずは丁寧に鑑別し,そのうえでも両者が鑑別できなければ両者の併存と診断するという臨床姿勢が求められる。自閉スペクトラム症と統合失調症の鑑別補助に有用な心理検査としては,Japanese Adult Reading Testとロールシャッハ・テストがあげられ,注意欠如・多動症と統合失調症の注意機能の客観的評価には事象関連電位が有用である可能性がある。良好な治療・支援につなげるために,適切な診断・評価には客観的な評価を行うことが望まれ,さらなる研究とともに,臨床上は丁寧な評価および鑑別を行う必要がある。

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© 2018 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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