総合病院精神医学
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総説
身体的リスクのある患者への電気けいれん療法の施行
岩本 崇志和田 健
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2019 年 31 巻 1 号 p. 22-30

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抄録

電気けいれん療法(以下,ECT)は高い有効性と速効性を有し,絶対的な医学的禁忌はないために,比較的安全な治療法であるという認識をもつ精神科医が多い。しかしながら実際には,高血圧,不整脈,心静止などの循環器系の障害やせん妄,健忘などの認知機能障害,遷延性無呼吸などの呼吸器系の障害を含む多くの有害事象が起こり得る。また,麻酔管理上も,短時間の麻酔中に大きく循環動態が変動することを考えると決してリスクが小さい治療法とはいえない。今回,肺炎や電解質異常,下肢静脈血栓などの合併症をもったレビー小体型認知症の1例を呈示し,安全なECT施行のための術前評価や注意するべき有害事象とその対策,また患者家族に対するインフォームド・コンセントについて解説する。

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© 2019 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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