ステロイド投与により精神変調を来すことがあるが,これはステロイド精神病と呼ばれる。本稿では,ステロイド精神病に対して修正型電気けいれん療法(m-ECT)を施行し,改善した1例を経験したので報告する。
症例は23歳男性で,精神科通院歴はない。もともとは活発な性格だった。しかしネフローゼ症候群を発症し,ステロイドパルス療法施行後に抑うつ症状が出現した。ステロイド中止後も抑うつ症状が遷延化し,抗うつ薬や抗精神病薬を内服加療したが改善しなかった。そのため,m-ECTを施行したところ著効した。
本症例は,ステロイド中止後も抑うつ症状が遷延化したステロイド精神病に対して,m-ECTが著効した貴重な症例であった。抑うつ症状が遷延化したステロイド精神病の治療にm-ECTが有効である可能性が示され,治療戦略として選択する価値があると考えられた。
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