総合病院精神医学
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原著
統合失調症の腹側被蓋野ドーパミンニューロンに関する免疫組織化学的研究(ロボトミー症例を含む)
池本 桂子冨永 格織田 辰郎
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2019 年 31 巻 1 号 p. 38-47

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抄録

中脳辺縁ドーパミン(DA)系は統合失調症の病態に関わる。統合失調症7名(24〜78歳,PMI:4〜13時間,ロボトミー既往3例を含む),対照者5例(24〜64歳,PMI:4〜5時間)の剖検脳の腹側被蓋野(VTA)DAニューロンの形態をチロシン水酸化酵素(TH)免疫組織化学によって検討した。厚さ50μmのクリオスタット凍結切片をTH抗体と浮遊法を用いて免疫染色し,画像解析装置AxioVisionで3次元立体構築した。78歳女性解体型症例では,VTAのTH陽性ニューロンはサイズと形が不整で(長径6〜24μm),一部の陽性線維が波状で直線的TH 線維束が交差していた。51歳女性の分類不能型では,細胞体の不整,太い神経突起,太さ不整の蛇行線維がみられた。ロボトミー症例では,細胞体のサイズと形の不整(長径6〜23μm)に加え,Waller変性とみられるコイル状や毛羽立ったような細いTH陽性線維が目立った。統合失調症VTAのTH陽性ニューロンの形態は個体差が大きく,細胞体や神経線維の太さの不整,神経線維束,直線的または屈曲が多く蛇行した神経線維の存在を特徴としていた。

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© 2019 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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