2019 年 31 巻 2 号 p. 207-215
[序言]パーキンソン病(PD)患者のせん妄治療において,抗精神病薬の代替薬が求められている。われわれは,ガバぺンチンにより,PD症状の悪化なく,せん妄が改善したPD症例を経験したので報告し,ガバペンチンが抗精神病薬の代替薬となる可能性を議論する。[症例1]82歳男性のPD患者。肺炎発症後,せん妄を呈した。ガバペンチン100mg眠前を開始すると,せん妄が速やかに改善。PD症状は悪化せず。[症例2]66歳女性のPD患者。小脳梗塞発症後,せん妄を呈した。 ガバペンチン100mg眠前を開始後,認知機能が改善し,さらに200mg眠前に増量後,幻視・妄想が消失。PD症状は悪化せず。[考察]これらの症例より,ガバペンチンはPD症状の悪化なく,抗精神病薬・ベンゾジアゼピン系薬剤とは異なる作用機序で,せん妄を改善させる可能性がある。[結語]ガバペンチンはPD患者のせん妄において,抗精神病薬の代替薬となる可能性がある。