総合病院精神医学
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症例
抗うつ薬による治療に同意しないうつ病の乳がん患者に行動活性化療法が奏効した1 例
平山 貴敏小川 祐子鈴木 伸一清水 研
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2019 年 31 巻 2 号 p. 199-206

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抄録

行動活性化療法は,うつ病のがん患者に対する有効性が示されている。しかし,抗うつ薬による治療に同意しないがん患者に対する有効なアプローチとしての可能性を示した報告はない。本症例報告は,患者本来の「自分らしさ」を大切にして日々を過ごす行動活性化療法が有効なアプローチであることを示すことが目的である。

われわれは,抗うつ薬による治療に同意しないうつ病の乳がん患者に対し,計8セッションの行動活性化療法を行った。その結果,抗うつ薬を使用することなしに,Hamilton Rating Scale for Depression(HRSD)では介入前の中等症のうつ状態から介入後は寛解状態まで改善を認めた。さらにプログラム後に,患者は日々を主体的に過ごせるようになった。

本症例から,行動活性化療法が①がん患者に特に良い適応があること,②がん患者のその後の人生を主体的に生きることにもつながる可能性があること,が考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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