2011 年 44 巻 8 号 p. 1047-1054
症例は61歳の男性で,下部消化管内視鏡検査でS状結腸に2型腫瘍を指摘され,術前生検では中分化腺癌であった.術前造影CTにて腎静脈下縁尾側のNo216リンパ節転移陽性と診断した.肝硬変を併存しており根治手術は困難と判断し,ハルトマン手術,D2郭清,根治度C(遺残病変はNo216リンパ節のみ)を施行.病理組織学的検査において,原発巣および転移リンパ節にはそれぞれ腺癌細胞と約20%,約30%の内分泌細胞癌成分の混在を認めた.遺残病変に対し,肺小細胞癌に準じてCPT-11+CDDP療法を施行した.2コース終了後にNo216リンパ節腫大は著明に縮小し,その後4コース追加し化学療法を中止,以後経過観察のみを行っている.化学療法終了後4年6か月間Complete Responseを維持しており,術後5年1か月現在生存中である.