2012 年 45 巻 5 号 p. 491-496
症例は55歳の女性で,8歳時に先天性胆道拡張症に対する手術歴があり,1年前より時々発熱を伴う右季肋部痛が出現した.当初,胆管炎との診断で保存的治療が行われたが,CEA値の上昇とともに,CTで膵頭部に腫瘤性病変が指摘されたため当科に紹介された.閉塞性黄疸を呈しており,経皮経肝胆道ドレナージ術を施行したところ,総胆管空腸側々吻合が行われていたことが判明した.以上より,内瘻術後に発生した胆管癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本では中下部胆管に隆起性病変が認められ胆管空腸吻合部まで浸潤するとともに明らかな膵浸潤が認められた.病理組織学的には中分化型腺癌と診断された.術後経過は良好であり,術30日後に退院し,術4年無再発生存中である.今回,我々は,先天性胆道拡張症に対する内瘻術から47年もの年月を経て発見された胆管癌に対する手術症例を経験したので報告する.