2012 年 45 巻 5 号 p. 504-511
症例は55歳の男性で1996年に右腎細胞癌で右腎摘出術を施行されていた.2010年8月,人間ドックの腹部CTで1年前に認めなかった脾腫瘤を指摘された.自覚症状はなく外傷や炎症性疾患などの既往もなかった.超音波検査で同腫瘤は2cm大の一部血流を認める低エコー腫瘤として描出され,MRIでは出血を伴なう腫瘍性病変の可能性が指摘された.CT,FDG-PET-CTなどの精査では画像上の特徴所見に乏しく,確定診断には至らなかったが悪性腫瘍の可能性を否定できず,2010年9月に脾摘出術を施行した.CD31,CD34,CD8などの免疫組織化学検査所見でSclerosing angiomatoid nodular transformationと診断された.本疾患は非常にまれな脾腫瘤形成性疾患と考えられ,本邦報告例は5例のみであった.本例を加えた6例の臨床的特徴を検討し報告する.