日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
下腰ヘルニア嵌頓の1例
杉本 卓哉三毛 牧夫草薙 洋加納 宣康
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2012 年 45 巻 5 号 p. 566-571

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抄録

 腰部には上腰三角と下腰三角とよばれる2つの解剖学的抵抗減弱部位が存在する.下腰ヘルニアは下腰三角から発生する極めてまれなヘルニアであるが,嵌頓例はさらにまれである.今回,我々は非外傷性の下腰ヘルニアの小腸嵌頓の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は74歳の女性で,右腰部の腫瘤および疼痛と嘔吐を主訴に来院した.身体所見上,腰部に圧痛を伴う腫瘤を触知し,腹部CTで右下腰三角から腹水を伴う小腸の脱出を認めた.下腰ヘルニア嵌頓と診断し,還納できなかったため同日緊急手術を施行した.下腰三角から小腸の脱出を認めたが腸管壊死所見はなかった.ヘルニア門を直接縫合閉鎖し,light-weightのpolypropylene meshを用いて補強した.術後経過は良好であった.

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