日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
成人仙骨前dermoid cystの1例
丸山 哲郎星野 敢武藤 頼彦菅本 祐司福長 徹木村 正幸松原 久裕
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2012 年 45 巻 5 号 p. 572-577

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抄録

 症例は20歳の女性で,左下腹部痛を主訴に当院産婦人科を受診しMRIを施行したところ,直腸背側に4cm大の囊胞性腫瘤を認めた.epidermoid cystやtailgut cystなどが疑われ当科紹介となった.術前検査では確定診断は得られず,仙骨部囊胞性腫瘍の診断にて手術の方針となった.経仙骨的に腫瘍を摘出した.灰白色の内容を含む囊胞性腫瘍であり,組織学的には毛包などの皮膚付属器を伴った扁平上皮による被膜を呈する囊胞であり,Dermoid cystの診断となった.悪性所見は認めず,術後3日目に退院となった.前仙骨部は発生学的に胎児性組織が集中し,さまざまな先天性腫瘍が発生すると言われている.それらの術前診断は困難であること,易感染性であり感染後は完全摘出が困難になることなどから,発見後早期に手術を行うことが多い.今回,我々は成人仙骨前dermoid cystの1例を経験したので報告する.

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