日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
人工肛門造設部と上腕ポート抜去部,点滴抜針部に続けて壊疽性膿皮症を発症した1例
吉野 健史間中 大工藤 亮金井 俊平光岡 英世神頭 聡濱洲 晋哉小西 小百合西躰 隆太
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2015 年 48 巻 10 号 p. 877-882

詳細
抄録
 症例は57歳の女性で,卵巣癌に対する子宮全摘,両側付属器切除後の再発巣に対し化学療法が行われていた.初回手術から約4年後に腫瘍浸潤による直腸膣瘻を認めたため,下腹部正中切開によりS状結腸人工肛門を造設した.術後4日目に正中創からの浸出液が増加し,その後,人工肛門周囲の発赤,潰瘍形成を認め,壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenousum;以下,PGと略記)と診断,広範囲の壊死を認めたが,ステロイド軟膏塗布で術後44日目にほぼ上皮化した.その後の治療経過中に上腕ポート抜去部や末梢点滴抜針部にも特徴的な潰瘍を認め,PGと診断した.PGは炎症性腸疾患や悪性腫瘍などに合併することがあり,辺縁が隆起した特徴的な潰瘍を主症状とし,下腿前面に発症することが多い.人工肛門周囲に発症することもあるが,本症例のようにポート抜去部や末梢点滴抜針部に続発した報告はなく,その原因に関しても報告する.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top