日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
48 巻, 10 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
症例報告
  • 佐々木 智彦, 本山 悟, 佐藤 雄亮, 吉野 敬, 脇田 晃行, 南谷 佳弘
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 811-816
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     症例は37歳の男性で,胸部中部食道癌 cT4N2M0 cStage IVaに対する根治的化学放射線療法,追加化学療法およびサルベージ食道切除術後3か月にトリコスポロン敗血症に罹患した.急性呼吸促迫症候群も併発し人工呼吸器管理を要した.治療の中心は抗真菌剤であり,診断後直ちにアムホテリシンBを投与開始,その後ボリコナゾールを追加して治癒した.深在性トリコスポロン症は免疫機能低下状態で発症するまれで極めて予後不良な日和見感染症である.これまで血液悪性疾患治療中に発症した報告が多いが,消化器癌においても集学的治療が拡大し高度な免疫機能低下症例が増え,本症の発生頻度は増加するものと思われる.今後,深在性真菌症として致死率の高い本症に対する警戒も必要であり,発症時は血液培養検査による迅速な診断と適切な抗真菌剤の選択が重要となる.
  • 林 茂也, 大島 貴, 金澤 周, 菅野 伸洋, 吉川 貴己, 利野 靖, 稲山 嘉明, 國﨑 主税, 今田 敏夫, 益田 宗孝
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 817-824
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     症例は69歳の男性で,1か月前から労作時呼吸困難が出現し,急激に増悪してきたため当院を受診した.肺梗塞を最も疑い入院したが,造影CTで肺梗塞は否定された.一方で胃周囲および傍大動脈リンパ節の腫大を認めたため.上部消化管内視鏡検査を施行し,胃癌と診断し,さらに肺動脈血液病理細胞診にて,胃癌の病理組織学的検査所見と類似した腺癌細胞を認めたため,臨床経過とあわせ,胃癌によるpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(以下,PTTMと略記)と診断した.非侵襲的陽圧換気療法による保存的療法にて症状は軽快し,退院後外来にてS-1を投与した.投与開始後3か月間症状なく外来通院していたが,再度PTTMと考えられる呼吸状態の急性増悪が出現し,症状出現より10時間後に死亡した.胃癌によるPTTMを生存中に診断しえた本症例は極めてまれであり報告する.
  • 森岡 広嗣, 吉谷 新一郎, 南 貴人, 三木 明寛, 鈴木 貴久, 北村 好史, 大谷 剛, 石川 順英, 西平 友彦, 石川 亮
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 825-833
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     症例は63歳の男性で,当院循環器内科入院中に貧血を指摘された.腹部CTにて胃底部から胃体部後壁を中心に大きさ10 cm大の膵体尾部に浸潤が疑われる巨大な腫瘤性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査では噴門部大彎側に径10 cm大の巨大なBorrmann 1型腫瘍を認め,生検の結果poorly differentiated adenocarcinomaと診断された.手術は進行胃癌の診断でD2郭清を伴う胃全摘術,膵脾合併切除術を施行した.病理組織学的検査所見は多核-巨核の異型細胞の出現と核分裂像の増加を伴った低-未分化な細胞が主体であり,未分化型多形肉腫(undifferentiated pleomorphic sarcoma;以下,UPSと略記)が疑われたため免疫組織学的検討を行ったところ特異的な分化傾向を示さないことから胃原発UPSと診断された.胃原発UPSは極めてまれな疾患であり報告する.
  • 塚本 俊太郎, 寺島 秀夫, 朴 秀吉, 中野 順隆, 今村 史人, 神賀 正博
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 834-839
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     症例は背部痛を主訴とする69歳の女性で,偶然上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に約10 mmの粘膜下腫瘍が発見された.生検の結果,神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下,NETと略記),Grade 1(以下,G1と略記)と診断された.NET-G1で10 mm以下かつ粘膜下層までの深達度の場合,リンパ節転移のリスクが低いので縮小手術の適応と判断され,十二指腸球部を含めた幽門側胃切除術が施行された.病理組織学的検査では粘膜下層内に限局する8 mm大のNETと幽門下リンパ節への転移がみられた.十二指腸NETの本邦報告例21例を集計すると,G1または10 mm以下の場合でも3例にリンパ節転移が発生していた.十二指腸NETの治療に際しては,リンパ節転移リスクが低い条件を満たしていても,潜在的なリンパ節転移リスクを認識する必要性が示唆された.
  • 荻野 真理子, 平野 聡, 鈴木 善法, 田中 宏典, 才川 大介, 山本 和幸, 川原田 陽, 北城 秀司, 奥芝 俊一
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 840-846
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     症例は73歳の男性で,下部胆管癌に対し膵頭十二指腸切除術を施行し,RTBDチューブTMを切断して留置し,ロストチューブとした.pT1,pN0,fStage Iの診断で定期的に外来通院をしていたが,術後1年半のCTで胆管空腸吻合部の胆管内に結石を疑う腫瘤影を認め,その2か月半後に胆管炎で入院となった.内視鏡で胆管空腸吻合部を観察すると,RTBDチューブTMに胆泥が付着して塊が形成されていた.RTBDチューブTMを胆泥塊とともに抜去し,さらに肝内胆管の結石を除去した.本症例はロストチューブが長期間残存したことによりチューブを核として結石が形成されたと考えられる.本症は頻度として極めてまれであるが,ロストチューブ長期残存例における晩期合併症の一つとして重要と考え報告する.
  • 佐藤 明史, 市川 宏文, 初貝 和明, 大原 勝人, 乙供 茂, 武山 大輔, 嶋 健太郎, 金田 巖
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 847-854
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     症例は75歳の男性で,胆管炎の発症を契機に精査を行ったところ,胆囊内に悪性を疑う腫瘤性病変を指摘され,同時に完全内臓逆位が認められた.胆囊癌の疑いで手術を施行したが,開腹所見で腫瘍の漿膜面への露出を認めず,術中迅速診断で胆囊管断端に悪性所見を認めなかったため,拡大胆囊摘出術を施行し,肝外胆管切除術は施行しなかった.病理組織学的診断では漿膜下層まで浸潤する腺癌を認めたが,切除断端はいずれも陰性であり,胆囊管リンパ節(#12c)への転移も認められなかった.完全内臓逆位は内臓が左右逆転・鏡面関係であるため,手術操作に困難を生じることがある.また,合併奇形が認められることも多いため,通常よりも入念な画像の読影と術中の細心の注意が求められる.完全内臓逆位と胆囊癌が合併したとの報告は非常にまれであり,ここに報告する.
  • 三隅 俊博, 西原 雅浩, 谷峰 直樹, 杉野 圭三
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 855-861
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     虫垂憩室炎と虫垂鋸歯状腺腫は,それぞれ比較的まれな疾患である.今回,我々はその両者を併発した症例を経験したので報告する.患者は73歳の男性で,右下腹部痛を主訴に来院し,腹部造影CTで虫垂腫大および周囲の脂肪織濃度上昇と,虫垂壁から突出する囊胞状の小隆起を認めた.急性虫垂憩室炎と診断し,同日緊急手術を施行した.腹腔内には膿性腹水が貯留し,切除した虫垂の虫垂間膜側に3個の憩室を認め,そのうち一つの憩室が穿孔していた.病理組織学的診断で憩室は仮性憩室であり,虫垂根部に鋸歯状腺腫を認めた.虫垂憩室炎と虫垂鋸歯状腺腫を併発した本邦報告例はなく,極めてまれな症例と考えられた.
  • 筒山 将之, 小森 康司, 木村 賢哉, 木下 敬史, 清水 泰博
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 862-868
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     症例は61歳の男性で,臀部痛を主訴に前医を受診後,直腸腫瘍を認め精査加療目的に当院へ紹介受診した.会陰部は悪臭を伴う広範囲な腫脹・壊死を認め,直腸診では全周性腫瘍を触れた.血液検査では炎症反応高値,腫瘍マーカー高値を認めた.造影CTでは下部直腸に全周性壁肥厚と皮下軟部組織への空気像の波及,胃内への造影剤漏出を認め,上部消化管出血を伴う直腸癌穿通によるFournier壊疽が疑われた.内視鏡的止血術を試みるも,多量の血餅によって視野確保が困難であり,内視鏡的止血術は困難と判断し開腹手術へ移行した.広範胃切除術・横行結腸人工肛門造設術,debridementを施行した.第12病日に腹会陰式直腸切断術を施行し,術後経過良好にて薬物療法科へ転科となった.
  • 長島 沙樹, 藤崎 滋, 高階 幹, 櫻井 健一, 富田 凉一, 高山 忠利
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 869-876
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     症例は61歳の男性で,上腹部痛を主訴に来院した.腹部CTで胃の小彎側に拡張腸管を認め,イレウスの診断にて入院し,保存的加療を行うも症状が改善しないため,開腹手術を施行した.小腸が胃結腸間膜に包み込まれるように網囊内に陥入し,さらに小網を被った状態で胃小彎側に脱出していた.小腸が壊死していたため腸切除を施行し,イレウス解除を行った.合併症はなく,14日目に退院した.網囊内に嵌入したという点では大網裂孔網囊ヘルニアに類似するが,大網裂孔が存在しない点が異なり,まれな網囊ヘルニアと考えられた.特に,我々の症例は胃結腸間膜の形成異常を伴っている点で特にまれな症例である.
  • 吉野 健史, 間中 大, 工藤 亮, 金井 俊平, 光岡 英世, 神頭 聡, 濱洲 晋哉, 小西 小百合, 西躰 隆太
    原稿種別: 症例報告
    2015 年48 巻10 号 p. 877-882
    発行日: 2015/10/01
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー HTML
     症例は57歳の女性で,卵巣癌に対する子宮全摘,両側付属器切除後の再発巣に対し化学療法が行われていた.初回手術から約4年後に腫瘍浸潤による直腸膣瘻を認めたため,下腹部正中切開によりS状結腸人工肛門を造設した.術後4日目に正中創からの浸出液が増加し,その後,人工肛門周囲の発赤,潰瘍形成を認め,壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenousum;以下,PGと略記)と診断,広範囲の壊死を認めたが,ステロイド軟膏塗布で術後44日目にほぼ上皮化した.その後の治療経過中に上腕ポート抜去部や末梢点滴抜針部にも特徴的な潰瘍を認め,PGと診断した.PGは炎症性腸疾患や悪性腫瘍などに合併することがあり,辺縁が隆起した特徴的な潰瘍を主症状とし,下腿前面に発症することが多い.人工肛門周囲に発症することもあるが,本症例のようにポート抜去部や末梢点滴抜針部に続発した報告はなく,その原因に関しても報告する.
編集後記
feedback
Top