日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
胃結腸間膜の形成異常を伴った網囊ヘルニアの1例
長島 沙樹藤崎 滋高階 幹櫻井 健一富田 凉一高山 忠利
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2015 年 48 巻 10 号 p. 869-876

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抄録
 症例は61歳の男性で,上腹部痛を主訴に来院した.腹部CTで胃の小彎側に拡張腸管を認め,イレウスの診断にて入院し,保存的加療を行うも症状が改善しないため,開腹手術を施行した.小腸が胃結腸間膜に包み込まれるように網囊内に陥入し,さらに小網を被った状態で胃小彎側に脱出していた.小腸が壊死していたため腸切除を施行し,イレウス解除を行った.合併症はなく,14日目に退院した.網囊内に嵌入したという点では大網裂孔網囊ヘルニアに類似するが,大網裂孔が存在しない点が異なり,まれな網囊ヘルニアと考えられた.特に,我々の症例は胃結腸間膜の形成異常を伴っている点で特にまれな症例である.
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