抄録
症例は64歳の男性で,黄疸と肝・胆道系酵素の上昇を認め当院紹介となった.腹部CTでびまん性の膵腫大と肝門部から総胆管にかけての壁肥厚と下部胆管の狭窄を認めた.IgG4は254 mg/dlと高値であり,自己免疫性膵炎・IgG4関連硬化性胆管炎と診断したが胆管癌の鑑別も必要と考え胆汁細胞診を行い,Class IVが得られた.胆管癌を念頭におきつつステロイド治療を開始した.14日後のERCPで肝門部の狭窄は改善したが,下部胆管に一部不整な局面を伴うなだらかな狭窄を認め,細胞診でClass Vが得られた.下部胆管癌と診断し膵頭十二指腸切除術を行った.病理組織学的検査所見は膵臓・胆管に高度のリンパ球・形質細胞浸潤と中等度の線維化を認め,深達度ssの下部胆管癌を認めた.今回,ステロイド治療によりその局在を術前診断しえたIgG4関連硬化性胆管炎に併発した胆管癌の1例を経験したので報告する.