日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
膵管内乳頭粘液性腫瘍に併存した上腸間膜静脈欠損症の1例
田中 希世宮本 敦史浅岡 忠史前田 栄濱 直樹西川 和宏池田 正孝平尾 素宏関本 貢嗣中森 正二
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2019 年 52 巻 9 号 p. 521-527

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抄録

症例は74歳の女性で,徐々に増大する膵頭部囊胞性腫瘍を指摘され当科を紹介受診した.血液検査にて肝胆道系酵素の異常はなかったが,腹部CTで膵頭部に35 mm大の分葉状の囊胞性病変を認め,内部に20 mm大の造影効果を伴う壁在結節を認めた.MRIで主膵管との交通も疑われたことから,high-risk stigmataを伴う分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断し,手術の方針となったが,術前造影CTでは上腸間膜動脈に伴走する通常の位置に上腸間膜静脈(superior mesenteric vein;以下,SMVと略記)に相当する脈管を確認できなかった.手術は膵頭十二指腸切除術を行った.術中所見では門脈本幹に続くSMVの走行は確認できず,拡張した脾静脈のほか膵頭部から肝十二指腸間膜周囲にかけて著明な静脈路の発達を認め,SMV欠損症と診断した.

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