日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
妊娠分娩を契機に発症した大腸全摘+回腸囊肛門(管)吻合術後afferent limb syndromeに対する腹腔鏡下手術の1例
久保 祐人水島 恒和三吉 範克高橋 秀和原口 直紹畑 泰司松田 宙土岐 祐一郎森 正樹
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2019 年 52 巻 9 号 p. 536-543

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抄録

潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;以下,UCと略記)に対する大腸全摘・回腸囊肛門(管)吻合術術後は腸閉塞の合併頻度が高く,特有な原因として回腸囊口側腸管の屈曲・捻転によるafferent limb syndrome(以下,ALSと略記)が報告されている.本邦での報告例はまれであり,妊娠・分娩を契機に発症した報告はない.症例は25歳の女性で,挙児希望を考慮し,内科的治療が不良のUCに対し,大腸全摘・回腸囊肛門管吻合術を施行した.術後42か月目に自然分娩で出産し,分娩後3か月目に腸閉塞を発症した.保存的加療で改善するも,繰り返し発症するため,癒着を疑い腹腔鏡手術の方針となった.術中所見で癒着はなく,回腸囊の口側腸管が骨盤腔に落ち込み屈曲していた.ALSと診断し,回腸囊口側腸管を腹壁に吊り上げて固定した.本症例は分娩後に子宮が縮小してできた骨盤内の空間で回腸囊が移動し,輸入脚に強い屈曲をもたらしたことがALSの原因と考えられた.

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