日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
無症候性hypoganglionosisに合併した上行結腸癌に対して結腸右半切除術を施行したところ術後腸閉塞を繰り返しバイパス手術が有効だった1例
崎村 祐介山本 大輔杉田 浩章林 憲吾西田 洋児辻 敏克北村 祥貴角谷 慎一津山 翔片柳 和義湊 宏伴登 宏行
著者情報
ジャーナル フリー HTML
電子付録

2020 年 53 巻 4 号 p. 360-370

詳細
抄録

Hypoganglionosis(以下,HGと略記)は腸管内神経節細胞が減少し,ヒルシュスプルング病類縁疾患に分類されている.成人の報告例は少数であり,結腸癌に対する手術症例の報告はない.今回無症候性HGに合併した上行結腸癌切除例を経験したので報告する.症例は54歳の男性で,便潜血陽性を指摘され,全大腸内視鏡で上行結腸に2型腫瘍を認めた.CT,上部消化管内視鏡で十二指腸が拡張しており,注腸造影で結腸が拡張し,ヒダが消失していた.上行結腸癌に対して腹腔鏡下結腸右半切除術を施行したところ,術中所見で腸管の拡張と弛緩を認めた.術後に吻合部で腸閉塞を繰り返し,腹腔鏡補助下回腸横行結腸バイパス術を施行した.術後病理結果から上行結腸癌pT3N0M0,pStage II,およびHGと診断した.術後腸閉塞の再燃は認めず,HG症例の結腸切除症例では吻合径を十分に確保することが肝要であると考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top