日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
主膵管狭窄を来した小径のセロトニン陽性膵神経内分泌腫瘍の1例
富田 英紀野竹 剛細田 清孝清水 明本山 博章福島 健太郎坂井 紘紀池原 智彦小林 聡副島 雄二大月 聡明藤田 幸恵
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2020 年 53 巻 4 号 p. 352-359

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抄録

症例は59歳の女性で,腹部CTで膵体部に主膵管狭窄を伴う10 mm大の腫瘤性病変を指摘された.腫瘤は造影早期相で辺縁優位に濃染し,後期相で中心部が漸増性濃染を示したことから,線維化を伴う膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor;以下,PanNETと略記)と診断し,膵体尾部切除術を施行した.切除標本では主膵管に接して最大径10 mmの腫瘍を認めた.病理所見で索状~小胞巣状の異型細胞を認め,主膵管狭窄部周囲にはセロトニン染色陽性の腫瘍細胞が線維性間質を伴いながら増殖していた.Ki-67陽性率3.1%,核分裂像0/50 HPFであったことからPanNET G2と診断した.また,上腸間膜動脈リンパ節に転移を認めたことから,腫瘍径は小さいものの,生物学的悪性度が高い腫瘍であると考えられた.

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