日本消化器外科学会雑誌
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原著
手術難易度から見た経皮経肝胆囊ドレナージ後の至適な手術待機期間の検討
三野 和宏植村 一仁深澤 拓夢鈴木 琢士齋藤 智哉白川 智沙斗吉田 拓人大畑 多嘉宣小丹枝 裕二川村 秀樹
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キーワード: 急性胆囊炎, PTGBD, 待機, 手術, 至適
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2022 年 55 巻 9 号 p. 537-548

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抄録

目的:急性胆囊炎に対する経皮経肝胆囊ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage;以下,PTGBDと略記)後から胆囊摘出術(以下,胆摘と略記)までの至適な待機期間(以下,待機期間と略記)に関しては,一定の見解が得られていない.待機期間と手術難易度の関連を評価し,至適な待機期間選定に関して検討を加えた.方法:当院でPTGBD後に胆摘を行った85例を対象とし,手術難易度と待機期間およびその他の因子との関連を後方視的に評価した.待機期間の関与が示唆された評価項目に対し,待機期間のカットオフ値を2週間から8週間の間で設定し,ROC曲線で検出力を評価した.選定された待機期間と関連のある因子に関して検討を加えた.結果:胆囊頸部に対する自動縫合器閉鎖あるいはreconstituting,術中胆囊穿孔,術中胆囊頸部一塊所見あり,手術時間120分以上の症例で,有意に待機期間が長かった.これら4項目の検出力を満たす待機期間のカットオフ値として3週間が候補として挙がった.3週間前後で比較すると,3週間以上待機症例で重症胆囊炎が多く,胆囊の炎症が残存し,胆囊頸部一塊所見が多かった.結語:重症胆囊炎症例は,待機期間を要する症例が多く,待機期間を置いても手術難易度が高い状態が続くと考えられるため,慎重な手術操作や術後管理が要求される.

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