日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
筋弁による修復と気道管理の工夫により救命しえた食道癌術後気管膜様部穿孔の1例
香川 正樹池部 正彦中ノ子 智徳上原 英雄杉山 雅彦太田 光彦森田 勝竹之山 光広井上 要二郎藤 也寸志
著者情報
ジャーナル オープンアクセス HTML

2022 年 55 巻 9 号 p. 549-557

詳細
抄録

食道癌術後に気管膜様部穿孔と膿胸を発症し,手術と術後気道管理の工夫によって救命した1例を経験した.症例は65歳の男性で,食道癌Stage IIと診断し,術前化学療法後に胸腔鏡下食道亜全摘,胃管による胸骨後経路再建術を施行した.術後7日目に縫合不全を認め,保存的に加療した.術後10日目の胸部CTで右胸腔に被包化された胸水を認め,膿胸と診断した.術後14日目の気管支鏡検査で気管膜様部に3か所の穿孔を認め,遅発性気管膜様部穿孔と診断し,頸部食道瘻造設術,胸壁前胃管空置術,筋弁被覆術,開窓術を施行した.術後はダブルルーメンチューブで気道管理を行い,別々の人工呼吸器を用いて分離肺換気とした.次第に穿孔部は上皮化し,再手術後44日目に抜管した.初回手術より94日目に胸郭形成術を,153日目に遊離空腸を用いた再建術を施行し,196日目に退院した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top