日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
十二指腸内ブドウ糖および脂肪負荷時の血中モチリンの変動と全幹迷走神経切離の影響
吉矢 健一山村 武平琴浦 義尚橋本 直樹石川 羊男伊藤 信義森幸 三郎清野 裕矢内原 昇
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 15 巻 12 号 p. 1887-1891

詳細
抄録
迷走神経切離後に生ずる変化の中で,胃腸運動の調節への関与が深いとされるモチリンの変化について不明な点が多い.そこで成犬13頭の空腹時ならびに十二指腸内ブドウ糖および大豆油負荷時の血中モチリン分泌動態を,全幹迷走神経切離(TV)の前後で比較検討した.(1)TV後も術前と同様に空腹時モチリンの間敏的分泌亢進が認められた,その値はTV後に若干上昇傾向を示したが有意の変化ではなかった.(2)ブドウ糖負荷によりモチリン分泌は抑制された.TV後も同様に抑制された.(3)大豆油負荷によりモチリン分泌は亢進した.TV後も同様に亢進すると判断した.以上より,迷走神経切離はモチリン分泌に対して重要な変化をおこさないものと考えられた.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top