抄録
乳頭部癌切除例16例を胆道癌取扱い規約に沿ってStage分類し, 予後に及ぼす因子について検討を加え, 以下の結果を得た.
1) Stage I 2例, II7例の9例中5年以上生存は5例にみられ, 予後は良好で, Stage III 6例には5年生存はみられなかった.
2) Stage I, IIには腫瘤形成型が77.8%に, IIIには潰瘍形成型が83.3%と多くみられた.
3) 膵臓浸潤, リンパ節転移は潰瘍形成型に多く, それぞれ60.0%, 80.0%にみられた.
4) 乳頭部癌の予後に及ぼす因子として, 肉眼型では潰瘍形成型, 組織学的には膵臓浸潤とリンパ節転移が重要と思われた.