抄録
胃癌435例の原発巣をPAP法によりCEA, AFP, hCG産生能を検討した. これら癌関連抗原陰性例は21%, CEA陽性74%, AFP陽性7%, hCG陽性19%であった. また1因子陽性59%, 2因子陽性16%, 3因子陽性2%であった. 陽性例では脈管侵襲, リンパ節転移が高度で, 産生因子数が多いほどその傾向は強くなった. Stageでは陰性例でのStage IV22%に対しCEA, AFP, hCG陽性例では, それぞれ38%, 45%, 48%と進行した例が多くみられた. 治癒切除例の予後をみるとStage I, IVでは陰性例と陽性例間に差はないが, Stage II, IIIでは陽性例の予後は不良であった. 以上より胃癌のCEA, AFP, hCG産生能と予後は密接な関係があり, 悪性度を示すparameterの1つになり得ると考えられた.