日本消化器外科学会雑誌
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胃癌の粘膜下層浸潤における粘膜筋板の役割
池口 正英米川 正夫太田 道雄角 賢一牧野 正人木村 修西土井 英昭貝原 信明古賀 成昌
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1989 年 22 巻 10 号 p. 2333-2337

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抄録
sm胃癌160例 (166病変) を対象とし, 粘膜下層への癌深達と粘膜筋板の厚さとの関係を検討した. 癌の粘膜下層深達程度の指標として, 水平方向への広がりの程度を粘膜下癌巣の応がり (sm面積) と粘膜内癌巣の広がり (m面積) の比 (sm/m) で表わし, 垂直方向への深達程度を表層型 (sm1), 中間型 (sm2), 深部深達型 (sm3) の3群にわけて区別した. 癌巣周囲の粘膜筋板の厚さが, 120.1μm以上ではsm/mは平均0.12, 60.1~120μmでは0.30に対し60μm以下では0.56と有意に高値であった. 粘膜筋板が60μm以下ではsm3が70%, 120.1μm以上ではsm1が50%を占めた. 幽門腺領域の分化型癌に限った検討でも同様の結果であった. 以上のことから, 癌の壁深達に粘膜筋板が何らかの障害となっている可能性が示唆された.
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