抄録
胃底腺領域内に存在する早期胃癌15例, 早期癌類似進行癌 (類進癌) 8例を対象として検討した. 若年者, 女性に多く, IIc型病変が多かった. 胃体上部後壁に多く (74%), 未分化型癌が87%をしめた. 内視鏡像では類進例にひだの集中, ふとまり, 融合像が多く, 早期癌に陥凹部の発赤, 凹凸の変化が有意に多かった. sm早期癌および類進癌の腫瘍間質部のalcian blue (AB), toluidine blue (TB) 染色陽性率は80.0%, 46, 7%とAB染色陽性の粘液が多く, 酵素消化試験では両染色ともtesticular hyaluronidase (THase) 消化率が高く, ヒアルロン酸の存在が示唆され, またTB染色陽性例のneuraminase (Nase) 消化率が高く, シアル酸の存在が認められた. かかる結果から, この部の陥凹型のあるものはlinitis plastica型胃癌に進展する可能性が示唆された.