日本消化器外科学会雑誌
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胃底腺領域癌の臨床的ならびに病理組織化学的検討-とくに早期癌・早期癌類似進行癌を中心として
曽和 融生加藤 保之西村 昌憲久保 俊彰前川 仁梅山 馨
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1989 年 22 巻 10 号 p. 2338-2343

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抄録
胃底腺領域内に存在する早期胃癌15例, 早期癌類似進行癌 (類進癌) 8例を対象として検討した. 若年者, 女性に多く, IIc型病変が多かった. 胃体上部後壁に多く (74%), 未分化型癌が87%をしめた. 内視鏡像では類進例にひだの集中, ふとまり, 融合像が多く, 早期癌に陥凹部の発赤, 凹凸の変化が有意に多かった. sm早期癌および類進癌の腫瘍間質部のalcian blue (AB), toluidine blue (TB) 染色陽性率は80.0%, 46, 7%とAB染色陽性の粘液が多く, 酵素消化試験では両染色ともtesticular hyaluronidase (THase) 消化率が高く, ヒアルロン酸の存在が示唆され, またTB染色陽性例のneuraminase (Nase) 消化率が高く, シアル酸の存在が認められた. かかる結果から, この部の陥凹型のあるものはlinitis plastica型胃癌に進展する可能性が示唆された.
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