日本消化器外科学会雑誌
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硬変併存肝細胞癌切除後再発例からみた切除範囲の検討
別府 真琴高須 朗福崎 孝幸藤本 憲一谷口 積三
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1989 年 22 巻 5 号 p. 1072-1077

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抄録

腫瘍径5cm以下のIM01)の硬変併存肝細胞癌27例を臨床病理学的に検討を行い, 再発群9例と非再発群18例の比較から, 再発因子, 再発型式を検討し, いかなる切除範囲が妥当であるかについて考察した. 両群間で著明な差を認めたのは被膜浸潤, 血管侵襲で, 再発群はfc-inf (+) かfc (-) ですべてvp1であった. fc-inf (-), vp0症例はHrSで再発もなく予後も良好であった. fc-inf (+), vp1症例は前者より拡大手術の傾向であったが, 9例中7例と高率に再発をきたした. また再発症例の再発部位の検討より9例中2例はHrSをHr1にすれば再発を回避しえたと考えられた. fc-inf, vpを術前に判断できない現時点では, 右葉においてはHrl, 左葉においてはHr2が望ましいと考えられた.

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