日本消化器外科学会雑誌
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22 巻, 5 号
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  • sm癌を中心とした検討
    田原 秀晃, 塩崎 均, 小林 研二, 矢野 外喜治, 山田 毅, 矢野 浩司, 田村 茂行, 辻仲 利政, 城戸 良弘, 小川 道雄, 森 ...
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1051-1056
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    術前無治療表在食道癌25切除例を対象に, 新肉眼分類案による肉眼型と組織学的特徴を, sm癌中心に検討した. O-I型とO-II型の腫瘍長径を比較すると, ep面ではおのおの2.3cm, 2.6cmと同程度であるのに, sm層ではおのおの1.4cm, 0.5cmとO-I型の方が有意に大きかった (p<0.01). しかし, 他の組織学的特徴では差は認めなかった. 次に, sm癌のうち混合型を示した病巣を, 隆起型に0-IIb型のみを随伴するもの (IE型) 8例と, 隆起型と潰瘍型の併存するもの (UL型) 4例とに分類し検討した. すると, UL型は全例がly (+), n (+) であり, 浸潤型増殖を示すものが多かった. したがって, UL型病巣は, 単純型およびIE型に比べ生物学的悪性度が高いと考えられた.
  • 平野 達雄, 三浦 敏夫, 草野 裕幸, 高平 良二, 遠近 裕宣, 三根 義和, 梶原 啓司, 宮下 光世, 横田 美登志, 渡部 誠一郎 ...
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1057-1061
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    胃癌治癒切除例中, ssγ30例, se48例につき, 最深層における癌の広さ, 拡大様式, 癌量, 組織型を検討し, 予後に及ぼす影響を検討した. 5生率は, 最深層の癌の広さでは, ssγ 例で10mm未満が, 10mm以上に比べて, 有意に良好であったが, se例では有意差はなかった. 癌の最深部層での癌量では, ssγ 例で癌少量のものは中等量に比べ予後良好であったが, se例では有意差はなかった. 漿膜下層での癌の拡大様式は, 「山型」はなく, 「箱型」と「谷型」との5生率には有意差はなかった. 最深部組織型で, 分化型と未分化型の5生率に有意差を認めなかった. したがって, ssγ で10mm未満, 癌量が少量のもののみ予後良好であった.
  • 吉川 時弘, 北村 正次, 荒井 邦佳, 粟根 康行, 神前 五郎
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1062-1066
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    1986年末までに当科で経験した早期胃癌492例中, 多発早期胃癌 (多発癌) 症例75例を対象に, 多発癌の診断, 外科治療上の問題を検討した. 多発癌はA, M領域に好発し, 早期胃癌の15.2%に認められた. 多発癌の頻度は高齢者ほど高く, また, 高齢者では分化型癌の多発, 病巣を多数有する症例が多かった. 多発癌の術前および摘出標本上の肉眼診断率はそれぞれ52%, 73%であり, 多発と術前診断できた症例においても, 病巣数が組織診断と一致したものは64%であった. 多発胃癌では副癌巣の大半がIIb微小癌のため, 肉眼診断は困難なことが多い. したがって, 多発癌症例では肉眼診断できない副癌巣を考慮し, 術式, 切除線を決定する必要がある.
  • 山村 義孝, 紀藤 毅, 中里 博昭
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1067-1071
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    H189例 (うち胃切除41例), H272例 (同15例), H365例 (同14例) の胃癌肝転移226例について, 術後生存率からみた各種治療法の有効性を検討した. H1, H2では, 他のStage IV因子合併の有無にかかわらず, 胃切除例の方が非切除例よりも生存期間が長く, H1では胃切除R2群21例の5生率は14.3%, R1群15例は6.7%であり, R0群5例と胃切除 (-) 群48例に5生例はなかった. 胃切除例中肝転移合併摘除が8例あり, 2例の5生例を得た. H1胃切除41例中化療 (-) 群11例には5生例がなく, 5生率は全身化療群17例が11.8%, 肝動注併用群13例が16.7%であった. H14例とH21例に5年生存を得, 肝転移の組織学的確認と積極的な治療姿勢の重要性を強調した.
  • 別府 真琴, 高須 朗, 福崎 孝幸, 藤本 憲一, 谷口 積三
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1072-1077
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    腫瘍径5cm以下のIM01)の硬変併存肝細胞癌27例を臨床病理学的に検討を行い, 再発群9例と非再発群18例の比較から, 再発因子, 再発型式を検討し, いかなる切除範囲が妥当であるかについて考察した. 両群間で著明な差を認めたのは被膜浸潤, 血管侵襲で, 再発群はfc-inf (+) かfc (-) ですべてvp1であった. fc-inf (-), vp0症例はHrSで再発もなく予後も良好であった. fc-inf (+), vp1症例は前者より拡大手術の傾向であったが, 9例中7例と高率に再発をきたした. また再発症例の再発部位の検討より9例中2例はHrSをHr1にすれば再発を回避しえたと考えられた. fc-inf, vpを術前に判断できない現時点では, 右葉においてはHrl, 左葉においてはHr2が望ましいと考えられた.
  • 大坪 光次, 藤尾 俊之, 古川 正人
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1078-1083
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    原発性肝内結石症と考えられる肝内型 (I型) 63例, 肝内外型で肝内優位型 (IE型) 16例の計79例にcomputed tomography (CT) を施行した. CT所見としては肝葉萎縮46例 (58.2%), 肝内胆管拡張50例 (63.3%), 結石の石灰化70例 (88.6%) がみられた. 肝葉萎縮を重視し, I型からV型までの原発性肝内結石症分類を試みた. その結果, 肝葉萎縮・肝内胆管拡張ともにはっきりしない群 (I型) と高度の肝葉萎縮と肝内胆管拡張のみられる群 (V型) およびその中間群 (II・III・IV型) に分けることができた. 治療法としては肝葉萎縮の無い群のI型は経過観察. II型は肝温存術を, 肝葉萎縮群 (III・IV・V型) は肝切除術を第1選択にすべきと考える.
  • 石川 正志, 余喜多 史郎, 幕内 雅敏
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1084-1092
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    イヌの門脈左枝に塞栓物質としてGelfoamを用いて門脈塞栓術を行い, 塞栓術の肝におよぼす影響について検討した. 門脈塞栓術後右葉は著明な代償性肥大をきたし, 術後2週目で最大となったが, 左葉は萎縮するため全肝重量は術後8週目までほぼ一定であった. 門脈の再疎通所見は術後2週目から始まり, 4週目では著明となったが, Gelfoam powderの方がcubesより再疎通は起こり難かった. また肝血流量については右葉は術後4週目まで有意に増加した. 血清生化学検査値では術後2週目で術前に復し, 門脈塞栓術による肝機能障害は軽度であった. 以上より塞栓物質としてはpowderの方がcubesよりも好ましく, 門脈塞栓術後の肝再生は十分期待できると思われた.
  • 塚本 賢治, 弘中 武, 鴻巣 寛, 園山 輝久, 牧野 弘之, 浜頭 憲一郎, 糸井 啓純, 内藤 和世, 山岸 久一, 岡 隆宏
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1093-1097
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌切除後の断端再発防止のためには, 腫瘍からどれだけ離して肝切除を行うべきかを明らかにするために, 肝細胞癌肝切除97例を対象として, 切除後の再発形式と部位について検討した. 断端再発は残肝再発46例中5例 (11%) に認められた. これらの症例には亜区域切除以下の小範囲切除が行われていた. 断端再発は組織学的被膜外浸潤が陽性で, 肝切離面から癌病巣までの距離が2mm以下の症例に限って認められたが, 被膜外浸潤陰性例には認められなかった. これらの結果から, 断端再発の要因としては, 肝細胞癌の被膜外浸潤の遺残が重要であり, 断端再発防止のためには, 肝切離面から癌病巣までの距離を少なくとも3mm以上確保することが必要と考えられた.
  • 内野 良仁, 平岡 武久, 斎藤 如由, 平田 智美, 山崎 謙治, 田代 征記, 宮内 好正
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1098-1101
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    現在までに腺管上皮由来の膵癌171例を経験し, 切除例は61例 (35.7%) であった. それらのうち術前の画像診断または手術所見で門脈に浸潤があると判断された症例13例に門脈合併切除を行ってきたが, その意義と問題点について検討した. 肉眼的門脈浸潤度と組織学的門脈浸潤度とは一致せず, 肉眼的門脈浸潤が認められても組織学的門脈浸潤やリンパ節浸潤を認めない例が6例 (46%) に認められた. また門脈合併切除により治癒切除率が向上し, さらに生存期間の延長も認められた点より, 画像診断, 術中の肉眼診断で門脈浸潤が認められても, 積極的に門脈合併切除すべきと思われる. さらに, 膵癌治療成績の向上のためには, より有効な集学的治療法の確立が望まれる.
  • 橋爪 正, 森田 隆幸, 山中 祐治, 今 充
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1102-1107
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    大腸多発癌と重複癌の臨床病理学的特徴を明らかにするため, 昭和61年までに経験した大腸癌手術例843例を検討した. 大腸単発癌758例に比べ多発癌は58例 (6.9%), 重複癌は31例 (3.7%) で, これを合わせると全大腸癌の10.6%を占めた. 多発癌は同時性, 異時性ともに70歳以上の高齢者に有意に頻度が高かった.
    同時性多発癌では単発癌に比べ腺腫併存率が有意に高く, 主病巣の肉眼形態は隆起型を示す例が多かった. 多発癌, 重複癌の家族内癌陽性率は単発癌に比べて高く, 特に大腸癌の多発する家系に家族集積性の強い例が認められた. 多発癌の予後は良好であった. 重複癌では第2癌が進行癌の場合やや不良な遠隔成績であった.
  • 下田 聡, 武藤 輝一, 畠山 勝義, 井上 雄一朗, 須田 武保
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1108-1115
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    大腸sm癌切除例117例, 123病巣を対象として臨床病理学的分析および治療方針につき検討した. 予後悪性因子陽性率はリンパ節転移9.4%, リンパ管侵襲21.4%, 静脈侵襲19.7%でありわれわれが提唱したsm浸潤度分類とよく相関していた. sm癌に対する治療は術後機能障害と分析結果より結腸および腫瘍下縁が歯状線より2cmのレベルから口側の直腸病巣に対しては浸潤度sm 1b以下すべてに進行癌に準じた根治術 (ただし肛門機能温存のためAWは1cmでよい) を, 腫瘍下縁がこれより肛門側の直腸病巣に対しては直腸切断術の適応とするがその施行条件は脈管侵襲陽性, 低分化腺癌あるいは未分化癌, sm3とするのが妥当と考えられた.
  • 藤吉 学, 磯本 浩晴, 白水 和雄, 山下 裕一, 小畠 敏生, 梶原 賢一郎, 掛川 暉夫
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1116-1120
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    大腸癌卵巣転移の臨床病理学的特徴を明らかにするとともに, 予防的卵巣摘除術の適応を明確にする目的で, 原発巣切除を受けた女性大腸癌症例309例を対象として検討を行い, 以下の結果を得た. 1. 卵巣転移を5例に認め, 全体では5/309 (1.6%), 閉経前3/61 (4.9%), 閉経後2/248 (0.8%) であった. 2. 卵巣転移は, 深達度a2, s以上でなおかつリンパ節転移n2 (+) 以上の症例に認められた. 3. 腹膜播種陽性例では, 卵巣転移は3/25 (12%) と高率であった. 以上より予防的卵巣摘除術の適応は, 1) 明らかに卵巣に異常のあるもの. 2) 腹膜播種のあるもの. 3) 明らかな漿膜浸潤や外膜浸潤があり, リンパ節転移高度なものと考えている.
  • とくに早期直腸癌に対する適応について
    中越 享, 下山 孝俊, 石川 啓, 三根 義和, 佐藤 哲也, 中尾 治彦, 宮下 光世, 横田 美登志, 高平 良二, 草野 裕幸, 清 ...
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1121-1126
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    直腸腫瘍に対する局所切除術15例について臨床病理学・細胞核DNA量の両面から検討し, 早期直腸癌の局所切除術の適応について考察した. 広基性m癌, 絨毛腺腫, 扁平腺腫の各1例の術後経過・予後とも良好で, 良い適応と考えられた. 進行癌には適応はないと考えられるが, 姑息的治療として3例に採用した. sm癌7例のうち, 中分化腺癌・脈管侵襲陽性・sm massive invasion・DNA aneuplodyの1例に再発を経験し, 他の6例はすべて5年生存を得た. 以上より, sm癌にも適応があるが,(1) 隆起潰瘍型IIa+IIc型,(2) 高分化腺癌以外,(3) sm massive invasion,(4) 脈管侵襲陽性,(5) DNA aneuploidyのrisk factorがある場合は, 本術式は避けるべきで, 術後適応外と判断された場合は, 再根治手術を行うべきである.
  • 固有筋層まで浸潤した癌と比較して
    松本 好市, 石島 直人, 菅谷 義範, 寺島 秀樹, 山村 剛司, 松本 収生, 北川 達士, 山本 純二
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1127-1132
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    治療法の選択にいまだ問題が残る癌の浸潤が粘膜下層にとどまる直腸癌 (以下sm癌) について, 教室で経験した17例と固有筋層に癌の浸潤が及んでいる33例の直腸癌 (以下pm癌) を臨床病理学的に比較検討した. 両者の臨床的鑑別は比較的容易に行えた. 治療はsm癌の4例24%を除き根治的腸切除術が行われ, リンパ節転移はsm癌12%, pm癌15.1%とほぼ同様であった. 転帰はpm癌の1例を除き全例生存中である. リンパ節転移の頻度および予後の面から両者は粘膜内癌および固有筋層より深く癌の浸潤がおよぶ進行癌とは明らかに区別されるべきと考えられ準早期癌と呼称されるべきであろう. しかし治療法の選択に最も重要な指標であるリンパ節転移の確実な術前診断は, 現在の臨床病理学的諸因子の検討では不可能であり, 今後なんらかの新しい診断法の開発が望まれる
  • 音琴 要一郎, 藤 勇二, 西田 博, 力武 浩, 小野 崇典, 入江 均, 島 一郎, 坂本 和義, 山名 秀明, 藤田 博正, 掛川 暉 ...
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1133-1136
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 田中 伸之介, 志村 秀彦, 田中 一雄
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1137-1140
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 宮本 正章, 須藤 峻章, 河村 正生, 菖蒲 隆治, 椿本 龍次, 福西 健至, 別所 偉光, 保田 知生, 久山 健, 細川 宏一, 橋 ...
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1141-1144
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 片岡 和彦, 小長 英二, 竹内 仁司, 大石 正博, 岩藤 浩典, 片岡 正文, 山下 博士, 後藤 精俊, 小林 元壮, 荒田 敦, 田 ...
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1145-1148
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 赤毛 義実, 岡田 英也, 西脇 慶治, 金森 幹
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1149-1152
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 上田 順彦, 永川 宅和, 太田 哲生, 前田 基一, 萱原 正都, 秋山 高儀, 上野 桂一, 宮崎 逸夫
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1159
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 渋谷 進, 高瀬 靖広, 岩崎 洋治
    1989 年 22 巻 5 号 p. 1160
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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