日本消化器外科学会雑誌
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肝門部胆管癌における肝門部血管合併切除再建例の検討
宮崎 勝宇田川 郁夫越川 尚男飯沼 克博伊藤 博神野 弥生海保 隆木村 文夫松本 潤磯野 敏夫鈴木 裕之小山 隆史下田 司中川 宏治奥井 勝二林田 和也諏訪 敏一
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1990 年 23 巻 12 号 p. 2772-2776

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抄録
肝門部胆管癌切除26例につき肝門部大血管合併切除再建を行った9例 (合切群) と血管非合併切除群17例 (非合切群) を比較検討した.治癒切除は2例 (7.7%), 相対非治癒切除14例 (53.8%), 絶対非治癒切除10例 (38.5%) であり合切群, 非合切群間に治癒切除率の差異をみなかった.非治癒因子は切除断端 (ew) が全切除例で88%を占め, 肝側断端 (hw) は合切群22%に比べ非合切群47%である.術死は合切群にのみ2例みられ非合切群には術死はない.生存率は非合切群で1年67.3%, 3年34.6%, 5年34.0%に比べ合切群は1年20.0%である.肝門部胆管癌の肝門部大血管浸潤例に対し血管合併切除再建を行った場合, 組織学的治癒度は向上するが予後の向上には結びついていないことが示された.肝門部大血管浸潤は予後を大きく左右する因子と考えられ, 血管合併切除再建を伴う積極的切除のみではすべての症例に十分な予後向上は望めないと考えられた.
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