日本消化器外科学会雑誌
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回腸のblind loopに多発した小腸癌の1例
唐原 和秀内田 雄三柴田 興彦村上 信一葉玉 哲生
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1990 年 23 巻 12 号 p. 2833-2836

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抄録
回腸のblind loopに発生した多発性腺癌の1例を報告した.
症例は77歳女性で52歳時 (25年前) に回腸末端炎によるイレウスに対して, 回腸横行結腸吻合術を受けた.昭和60年9月より, 胃潰瘍にて近医で治療をうけていたが, 昭和62年4月, 胃潰瘍穿孔による腹膜炎で緊急手術が施行された.広範囲胃切除術ならびに胃十二指腸吻合術 (Billroth I法) とともに, 回腸上行結腸のblind loop部の切除と回腸横行結腸吻合術を行った.
切除標本の肉眼所見では, 回盲弁 (Bauhin弁) の変形と高度の狭窄が見られ, blind loopを形成している回腸粘膜に多発性の潰瘍性病変がみられた.組織学的には, 多発性潰瘍6個のうちの3個に分化型腺癌が認められ, 腸間膜まで浸潤していた.Crohn病や, 結核などの所見はなかった.術後の経過は順調であったが, 11か月目に他院にて, 癌再発で死亡した.
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