日本消化器外科学会雑誌
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盲腸内腔へ発育した若年者虫垂癌の1例
岡田 和也岩松 正義西野 豊彦筑波 貴与根清水 力松尾 俊和
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1990 年 23 巻 12 号 p. 2837-2841

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抄録
原発性虫垂癌は比較的まれな疾患であり, 特有な臨床症状に乏しいため, 術前に確定診断を得ることはきわめて困難である.
今回われわれは, 年齢的にも発育様式的にもきわめてまれな原発性虫垂癌の1例を経験したので報告する.症例は17歳女性で, 主訴は上腹部痛.高度の貧血と右下腹部腫瘤を認めたため, 注腸造影検査や大腸内視鏡検査により盲腸癌と診断した.R3のリンパ節郭清を伴う右半結腸切除術を施行し, 切除標本の病理組織学的検索により, 盲腸内腔へ内翻性に発育した虫垂原発の結腸型, 中分化型腺癌と判明した.また全てのリンパ節において転移は認められなかった.
中高年者と同様, 若年者においても, 右下腹部腫瘤や疼痛を繰り返すような症例に対しては, 本症の可能性も考慮して検査をする必要があると思われる.また原発性虫垂癌においては, リンパ節郭清を伴う右半結腸切除術や回盲腸部切除術が望ましい.
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