日本消化器外科学会雑誌
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肝細胞癌切除症例の術後再発に関する検討
松本 宗明中島 祥介福岡 敏幸久永 倫聖青松 幸雄木戸 潔滝 順一郎吉村 淳堀川 雅人中野 博重
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1991 年 24 巻 12 号 p. 2937-2943

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抄録
肝細胞癌肝切除49症例のうち絶対的非治癒切除6例と術死3例を除く40例について, 再発とその予後について検討を加えた.40例全体の無再発生存率は, 1年57%, 3年41%, 5年26%で, 観察期間中に25例 (62.5%) の再発を認めた.腫瘍因子の中では, 腫瘍径3cm以上, 門脈浸潤陽性例に高い再発率がみられた.切除肝切離面への癌浸潤の右無 (TW) には再発との関連はみられなかった.肝切除量についての検討では, 腫瘍径3cm以下であれば亜区域以下の縮小手術でも良好な予後を期待できるものと考えられた.再発25例のうち22例 (88%) が術後2年以内に再発し, 再発後の累積生存率は, 1年63%, 2年26%, 3年17%であった.肉眼型では多結節癒合型が, また組織学的には門脈浸潤陽性例では術後早期に再発し, 再発後の予後も不良であることから, 肝細胞癌治療成績の向上にはこれら症例への対策が重要であると考えられた.
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