日本消化器外科学会雑誌
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Alpha-fetoprotein産生早期胃癌の1例
滝口 哲渡辺 清朗川上 克彦本多 光弥
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1991 年 24 巻 8 号 p. 2206-2210

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抄録
Alpha-fetoprotein (AFP) 産生胃癌の報告は多いが, その早期例は, 国内では5例の報告をみるにすぎない.われわれは58歳男性の1例を経験した.主訴はなく, 検診の胃透視にて胃前庭部に隆起性病変を指摘され, 内視鏡検査にて, Borrmann 3型病変で, 生検組織は高分化型管状腺癌と判明した. 術前検査で, carcinoembryonic antigen (CEA) 軽度上昇とAFP上昇がみられた.胃亜全摘術とR2リンパ節郭清を行った.切除標本ではIIa+IIc早期胃癌で, 粘膜層は主に中分化腺癌でCEA染色陽性, 粘膜下層は主に低分化腺癌でAFP染色陽性を示した.末梢血中CEA, AFP値は術後2か月で正常に復した.術後10か月経過し, 肝転移や再発の徴候なく生存中である.
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