抄録
胆嚢炎症性ポリープの中で特にWHOが提唱したfibrous polypと考えられる1例を経験した.症例は54歳男性で, 人間ドックの腹部超音波検査にて胆嚢ポリープを指摘された. 内視鏡 的逆行性膵胆管造影, 血管造影で胆嚢腺腫を疑ったが胆嚢癌も否定できず胆嚢摘出術兼肝床切除術を施行した. ポリープ様病変は20×17×15mmで桑実状であり, 病理学的検索ではWHOの提唱するfibrous polypの診断基戦具備していた. 本症は極めてまれな疾患であるが, 自験例のように20mm以上のこともあり胆嚢癌との鑑別において注意を要する病変と考えられた.