日本消化器外科学会雑誌
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タウロコール酸投与による胃粘膜病変発生におよぼす閉塞性黄疸の影響
松尾 哲也佐々木 巌神山 泰彦内藤 広郎舟山 裕士松野 正紀
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2139-2144

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抄録

ラットを用いて胃粘膜にnecrotizing agentの1つであるTaurocholate(TCA)を投与して黄疸時および減黄術を行った時の胃粘膜病変の発生について検討した.潰瘍係数は対照群に比べ黄疸群で有意に高く,減黄群では対照群とほぼ同じ値を示した.胃粘膜hexosamine量は,TCA投与前は,黄疸・減黄群で対照群に比べ低値を示したが,投与後の低下は対照群に比べ軽度であった,胃粘膜potentialdifference(PD)は,黄疸群でTCA投与後の低下が著明で,その後の回復も遷延し,減黄群は両群の中間の値を示した.胃内pHは,TCA投与2時間後までは3群間に差を認めないが3時間以降は対照群に比べ黄疸群で高値を示し,減黄群は両群の中間の値を示した.以上より,necrotizing agent投与による胃粘膜障害は黄疸時に発生しやすく,減黄術により改善し,これには胃粘膜PDなどの防御因子の改善が関与していると思われた

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