比較的まれな衝突胃癌の2例を経験した.症例は72歳と52歳の男性で, 前者は低分化腺癌よりなるBorrmann2型と高分化管状腺癌よりなる表面隆起型早期胃癌の衝突であり, 術前の診断では表面隆起型早期胃癌の部をBorrmann2型の口側へのはみだしと診断, 後者は早期胃癌同士の衝突で, 低分化腺癌よりなる表面陥凹型と高分化型管状腺癌よりなる表面隆起型の衝突であり, 術前の診断は表面隆起型と表面陥凹型の混合型であった.2症例とも2つの病巣が相接しており移行像は認められず, 術前には衝突癌の診断はされなかった.今後, 術前診断が分類不能の症例や診断に苦慮する症例は衝突癌を念頭におく必要があると思われた.