日本消化器外科学会雑誌
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早期胃癌, 早期S状結腸癌を合併した多発性筋炎の1例
堀田 芳樹宮村 一雄安積 靖友古谷 義彦田頭 幸夫
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2157-2161

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抄録

多発性筋炎・皮膚筋炎に悪性腫瘍が高頻度に合併することはよく知られているが, 悪性腫瘍については進行した状態で診断されることが多い.今回われわれは胃とS状結腸に早期重複癌を合併した多発性筋炎の1例を経験した.症例は63歳男性で1985年より多発性筋炎にて治療を受け, 以後毎年1回悪性腫瘍の検索がなされていた.1990年9月, CEA, CA19-9の上昇を認め, 胃とS状結腸に早期重複癌の合併を診断された.幽門側胃部分切除, S状結腸部分切除が施行され, 術後CEA, CA19-9値は正常範囲内に下降した.多発性筋炎に胃, 結腸の早期重複癌が合併した本症例はまれな症例であるが, 年1回の悪性腫瘍検索の結果, 早期癌での診断がなされたものと思われる.したがって多発性筋炎発症後少なくとも年1回の悪性腫瘍検索が必要と思われた.

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