日本消化器外科学会雑誌
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術前に診断できた膵somatostatinomaの1切除例
若林 正夫川村 信之宮崎 忠昭大塚 満洲雄沢田 久雄
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2195-2199

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抄録

膵原発somatostatinomaはまれな疾患であるが近年radioimmunoassayによる血中ソマトスタチン濃度の測定法が確立したことより, 報告例が増加している.われわれはhypervascularな膵頭部腫瘍で末梢血中のソマトスタチン濃度の上昇より術前にsomatostatinomaと診断し根治切除しえた症例を経験したので報告する.症例は64歳男性で体重減少を主訴として近医を受診し糖尿病を発見され腹部超音波にて胆嚢の腫大を指摘され来院, 精査の結果胆石を伴う膵原発のsomatostacinomaと診断され膵頭十二指腸切除術を行った.切除標本で膵頭部に55×45×35mmの充実性腫瘤を認めた.ソマトスタチン抗体による酵素抗体染色では陽性細胞が認められ, 腫瘍中のソマトスタチン濃度は13,700ng/gと高値を示した.術後血中ソマトスタチン濃度は2か月後3.4pg/mlと低下し, 術後1年現在再発の兆候なく生存中である.

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