日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
硬変併存肝癌の肝切除後早期予後因子としての術後血中human hepatocyte growth factor値測定意義について
臨床的および実験的検討
長田 真二佐治 重豊宇野 郷三加藤 元久杉山 保幸鷹尾 博司梅本 敬夫宮 喜一東 修次古田 智彦
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 26 巻 10 号 p. 2401-2409

詳細
抄録

最近21か月間に経験した硬変併存肝癌22例を用い, 肝切除後早期予後評価法としての血中hurnan hepatocyte growth factor (hHGF) 値測定意義につき検討した.結果: (1) 術前hHGF値は肝機能検査値と高い相関を示し, 予後ともよく相関していた (p=0, 0001).(2) 術後hHGF値の推移は術中ケトン体比から算出した手術侵襲度に影響され, 予後不良群と良好群では異なった変動様式を示した.次に, 術後肝不全症例で高hHGF値が遷延する意味を推察する目的で, chemical hypoxiaおよび四塩化炭素による障害ラット培養肝細胞を作製し実験的に検討した.その結果, hHGF添加により正常肝細胞で観察された細胞内Ca2+上昇反応は障害肝細胞では消失するだけではなく, 培地中の肝逸脱酵素量もhHGF添加により増加する傾向を示した.したがって血中hHGF値の測定は, 術前肝機能検査や術後早期予後評価法として, また術後推移は肝不全予測の指標として極めて有用であると考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top