日本消化器外科学会雑誌
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80歳以上の高齢者における膵頭十二指腸切除術の検討
福島 亘小西 孝司辻 政彦佐原 博之松本 尚角谷 直孝谷屋 隆雄藪下 和久黒田 吉隆三輪 淳夫
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1993 年 26 巻 10 号 p. 2416-2422

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抄録

過去12年間に当科にて膵頭十二指腸切除術を施行した196例中, 80歳以上の症例は17例 (8.7%) であった.この17例を対象に59歳以下および60歳以上79歳以下の群と術前併存疾患保有率, 術後合併症併発率などについて比較検討した.80歳以上の群では術前併存疾患保有率が76.5%と他の群に比較して有意に高く, とくに心肺腎疾患の合併が多く認められた.80歳以上の群では合併切除, 出血量, 手術時間ともに他の群に比べ少なかったにもかかわらず, 術後合併症併発率, 在院死亡率はそれぞれ58.8%, 35.3%と有意に高かった.しかし80歳以上の群を前期6年間と後期6年間で比較すると, 術後合併症併発率, 在院死亡率は前期でそれぞれ83.3%, 50.0%であったが, 後期では36.4%, 27.3%と改善が認められた.手術手技および術後管理に著しい向上をみる今日では, 手術侵襲を最小限にとどめることにより, 80歳以上の高齢者に対しても膵頭十二指腸切除術を行っていけるものと思われた.

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